水平分離のススメ « shivaken
IBM PCの互換機、AT互換機の成功は水平分離の力を類を見ない程強く示している。
様々な部品が規格化、モジュラー化されることによって大量生産のメリットを引出し、そして性能と価格で競争する。その結果が現在のPC製品と市場である。非常に高性能でありながら、低価格だ。
垂直統合の製品はまず価格で敗れ、次に性能を追い越される。最後に残るのは信頼性だ。だが、信頼性もいつかは追い付かれる。いつかは市場の縮小によってその信頼性を維持し担保するための資金が尽きるからだ。

実はここで取り上げたいのはPCやその眷族に関してではない。水平分離がいつかは訪れるかもしれない別の業界についてだ。それは自動車だ。
自動車製造も水平分離の時代? にあるように、実の所、中国ではすでにはじまっているらしい。インドでも格安自動車が規格されるくらいだからおそらくはじまっていよう。

もし自動車業界で水平分離が進んだら?まずはエンジンの会社ができるだろう。PCでいうならインテルだ。だがそれには駆動系との連結部分などについての規格化が必要だろう。電気自動車であれば、モータやバッテリはエンジンよりも水平分離向きではないか。シートなんかも量産しやすい。あとは制御系だ。ハンドルやブレーキ、AT回り、どれくらいの粒度が適しているか分からないがそれも市場原理で決まるだろう。

こうして車メーカーが部品の組合せによって製造を行うようになったらどうなるだろうか。まず安くなる。安全性は当然、垂直統合型より劣るだろうが規格化されれば試験も簡単になる。ユニットテストの結果は公表され、結合テストも低いコストで実施でき、いずれは追い付く。そして性能についてだが、電気自動車は垂直統合型よりもよくなるのではないか?モータ、バッテリは大量生産のメリットが生きそうだ。
と、ここまで書いて思ったのだが、内燃機関の車に取って代わる電気自動車の方が水平分離の方向へいく可能性が高い。いや、むしろ水平分離によって競争力が下支えされて内燃機関の車を駆逐するのではないだろうか。

もちろん、これは車好きにとっては大きな問題だ。性能はともかく、価格と利便性、ランニングコストで電気自動車が上回るようになればこれまでの車は立場がない。フィルムとデジカメの関係のように趣味としてしか成立しなくなり、やがてコストが熱意をも飲み込んでしまうだろう。そしてそれは雪崩のように訪れる。

さて、このようなシナリオを前に日本のメーカーはどのような動きをするだろうか。当然、今は垂直統合で電気自動車やハイブリッドを開発しているだろう。だが、それを売るだけではいずれ水平分離型に負けてしまう。ローエンドからはじまり、やがて高級車の手前まで侵蝕される。
それを避けたければ自ら撃って出るしかない。様々な規格を作り、その規格にあった部品を作って売る。その規格で車を組み立てるリファレンスも作る。
規格が市場のルールを作っていく。だから、それを他社に支配されれば水平分離の旨味もまったくない。日本のPCメーカーと同じ轍を踏むことになる。

水平分離は日本にとって悲劇でしかないのだろうか?いや、そうではない。例えば日本初のWIMAX事業者UQはむしろ「土管」になりたいと言っている。垂直統合へのこだわりが市場を小さくしてしまうのなら、市場そのものを広げるような戦い方も一つの道なのだ。スケールメリットがコスト優位性を押し進め、イノベーションを誘発する。
先手を取る日本が見たい。
[2009-09-11 00:37]
スポンサーリンク
名前:

Twitter、フォローしてちょ
OwletのCD売ってます!